Life is short!

シンガポール在住 4児の母の徒然ブログ

小3小5の探究授業

うちの学校は2学期制。1学期はターム1ターム2に分かれており、その間に1週間半ほどの短いお休みが入ります。8月から始まった新学期はもうすぐターム1が終わり、10月第2週目が秋休み。そのため、ターム1の終わりに向けて、生徒たちはこれまでのまとめのエッセイを書いたり、テストを受けたりなど、忙しくなってきています。学校でできなかったところは宿題になるので、自然と家でもPCに向かって課題に取り組んでいる時間が長い!(そして私は4人分の宿題サポートがツライ!涙)今回は、面白いなーと思って見ている、小3次男と小5次女の探求授業のまとめの様子についてお伝えします。

 

故翁長雄志知事についてリサーチした次男

小3の探求授業のテーマは「権利と義務」。権利ってなんだ?身近にある権利は?権利と義務の関係は?などなど色々な問いが出てきます。宿題で「人々が持っている権利を二つ選んで、その権利が自分の母国でどのように守られているか、お家の人や母国にいる人にインタビューしてみよう。」というのもありました。

 

そしてこのテーマのまとめは、「母国で人々の権利について何か変化をもたらした人物を選んで、リサーチを行い、プレゼンテーションする」というもの。そのプレゼンは、自分がその人になったつもりで、衣装にも工夫をして「なりきりプレゼン」をするのです。面白い!

 

次男は最初、うちで学習伝記漫画を読み倒していた「杉原千畝」をやりたい、と選んでいたのですが、どうやらお友達とカブってしまったらしく、変更することに。色々リサーチして悩んだ末に、残念ながら先月亡くなった故翁長雄志沖縄県知事にすることになりました。どんなことをやった人か、のリサーチとは別に、その人になりきらなくちゃならないので「女の人はムリ」とか、「この人の格好をするのは恥ずかしいからイヤ」とか、なかなかめんどくさい選定でした(笑)

 

リサーチは、オンラインで子ども向けの新聞やニュースサイトに出ている翁長知事の記事を読むことが中心。全てのことがわかるわけではないけど、彼なりの理解は進んだ様子。私は、以前読んだ「日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか」(矢部宏治著)の冒頭にある「つまり米軍機は、沖縄という同じ島のなかで、アメリカ人の家の上は危ないから飛ばないけれども、日本人の家の上は平気で低空飛行する」という一節を紹介して説明。アメリカの人の命や安全は守られているのに、日本の人は守られないなんてフェアじゃないね、ということも感じたようでした。リサーチした内容を「私の名前は翁長雄志です。。」から始まるスピーチ原稿にまとめ、暗記をして、学年のみんなと招待された保護者に向けて発表、となります。次男はかりゆしウェアのつもりのアロハシャツで登場の予定。。。!

 

小5次女のテーマは「移民」

「人類の歴史は移民の歴史」というセントラルアイデアの元、移民について探究した次女たち。このユニットが始まる前、5年生の先生が「お願いがあります」と中学部にやってきました。「移民についてのユニットが始まるので、5年生を小グループに分けて中学の授業に15分くらい参加させてほしい、何も準備したり対応したりする必要はなく、部屋の端っこに座らせて、ずっと放置しておいてもいいし、何か雑用を言いつけてもいいから」とのこと。そう、これは「ミニ移民体験」なのです。当日、5年生たちは何の説明もないまま、ただ「グループに分かれて行ってきて」とだけ言われて中学部へ。慣れない場所であまり知らない先生と生徒が居る教室におずおずと入ってきた5年生に、中学の先生たちは(半分面白がって)雑用を言いつけたり、わざと英語でもない言語で指示を出したり、冷たい床の上に座らせて放置したりしていました。そして先生たちの思惑通り、5年生たちの感想は「何だったのあれ??ひどいよね!訳のわからない言葉で話しかけてきたし!ほっとかれて何したらいいかわかんないし!意味のない雑用とかやらされてホントやだった!ひどい!」などなど。実体験を持って「移民」「難民」の立場をしっかりと感じたようでした。

 

次女がただ今取り組んでいるまとめは、移民について自分で問いを立て、その問いについてのキーワードを3つ出し、それらについてそれぞれリサーチしてサマリーを作る、というもの。次女が立てた問いは「今、日本には難民がいるのか?」。キーワードは1)難民の数 2)日本に難民が少ない理由 3)難民へのサポート、の3つ。それぞれについて、主にWebサイトでのリサーチをしていますが、自分のサマリーに入れる情報は、その出典を明らかにしなければいけないこと、信用できるサイトであるかどうかも確認しなければならないこと、なども学んでいきます。

次女のリサーチによると、日本在住の難民についてわかったことはこんな感じ:

*2017年に日本で難民の認定を受けたのはたったの20人。難民申請者の数は過去最多の約2万人。

*難民申請者の国籍は、フィリピン、ベトナム、スリランカ、インドネシアなどアジア諸国を中心に82カ国に渡る。

*世界では2016年時点で難民の数は6560万人もいる。

*日本での難民申請のためには、提出書類を日本語で書かなくてはならない!

 

海外から逃げてくる難民に「日本語で正確に書類を書いて提出せよ」なんて、その時点で受け入れる気ゼロだよねー!日本政府なにやってんのー?!と次女と盛り上がってしまった。さらに、たとえ難民認定されたとしても、言葉の壁や就労の問題、日本で生まれた子ども達の国籍の問題などなど、彼らが直面する厳しい現実についても、色々な記事を読みました。次女にとって、今まではその存在を意識することもなかった「難民」がグッと身近になった探究授業となりました。

 

子ども達と一緒に私も色々学んだ探究授業。私もそうだけど、もちろん全てがわかったわけじゃなく、きっと子ども達の中にも色々な「なんで??」がもやもやしてるんじゃないかな。。。なんで沖縄に米軍基地が集まっているの?どうして移転に反対する人と賛成する人がいるの?どうしてもっと難民をたくさん認定してあげないの?。。。彼らには、そんな疑問を抱えていってほしい。世の中のあり方を「そういうものだから」とか「仕方ないよね」とか言って終わらせず、「おかしいんじゃないかな?」と思う目線を持ってほしい。疑問を持って、それを提示して、議論して、行動する、そんな力が世界を変えていく原動力だと思うから。探究授業って、そんな力の芽が出るきっかけに、なるんじゃないかな。

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