’Student Agency’ ってなーんだ?
'Student Agency' というコトバ
Student もAgencyも、一つ一つは見慣れているし、 使ったことのある単語ですよね?でも、'Student Agency' というフレーズになると、どういう意味になると思いますか?
英語を勉強していると、 難しい単語は辞書を引けば意味がわかるけど、 このように易しい単語の組み合わせが、 実はどんな意味となるのかを知ることの方が、 かえって難しいなあと感じることがありませんか?私にとって、 今の学校で働き始めてから出会ったこのフレーズが、 その一つでした。知らない単語、言葉の意味を「コンテクスト、 文脈から知る、学ぶ」というのは、 ワールドピースゲームでも大切にしていますが、この'Student Agency'は、私がスタッフミーティングなどで聞きながら、 まさに文脈から学んだ言葉です。
日本語に訳すと、「生徒の自立(した学び)」となるでしょうか。 ミーティングでは、
Student Agency をうながそう、
Student Agency を大切にするために何をするべきか、
といったトピックで頻繁に話し合いがなされたり、 実行例などが紹介されたりしています。
また、これが "Ownership of learning"という言葉に置き換わることもあります。 こちらは「学びの主導権」という感じでしょうか。どちらのフレーズも、 先生が主導権を持ってどう学ぶかを決め、指示して やらせるのではない、生徒自身が「学びたい」 という気持ちを持ち、 どう学ぶかを自ら主体的に考えて学びを進めていく、 先生はあくまでそのサポート役である、という考え方です。
では、このほど実践された”Empowered learning spaces”、 小学4年生のクラスでの取り組みをご紹介します。 生徒たちがまさに'Student Agency'を持って教室のあり方を考え、 効果的な学びの環境を作った例です。
教室の様子(小学生)
まず、 元々の環境が日本の一般的な教室とは大きく異なることはお伝えし なくてはなりません。
1クラスの人数は最大24名。 一人一人にノートパソコンが貸し出される。 数人で囲める低めのテーブルがいくつか点在、人数分の椅子。 席は決まっていないことが多く、好きな椅子に座ったり、 課題ごとに席替えをしたり。 授業内容によってはカーペットに座ったり寝転んだりして本を読ん だり、歩き回るなど動きが自由。 先生もクラスのあちこちに動いてクラスをリード。 きちんと整列した机で、座る姿勢まで指導されて動きも限定的、 というスタイルとはかなり違います。
自分たちで教室をデザインする
元々そんな環境だけれども、今回4年生が取り組んだのは「 もっと効果的に学べる環境を作ろう!」ここでポイントなのは、 先生が考えて生徒のために放課後や休み中に行う模様替えではなく 、生徒が主導権を持って、 学びの環境をデザインしていることです。
まず、みんなで教室内で学ぶ時には、 どんなことをするかを考えます。ここでは主に、
1)リサーチ
2)コラボレーション(グループワークやディスカッションなど)
3)クリエイティビティ(創作)
4)マインドフル (集中してやる個々の作業)
の4つのキーワードがあげられ、 それぞれに適しているのはどんな環境か、話し合われました。 どんな場所なのか、大きさはどれくらいか、何が必要か、 どんな配置にするのが良いか。。。 これらは全て生徒たちのディスカッションで決められていきます。
そして、それを実際に教室内に実現!まず全ての机、椅子、 本棚や教材を廊下に運び出し、それぞれのキーワードに沿って、 教室内にコーナーが設けられ、家具や教材を並べていきます。
写真を取れなかったので、実際の様子をお見せできないのですが、 どんな感じか、ぜひ想像してみてください!
1)リサーチコーナー
本棚と本、パソコン、机、イス
落ち着いた雰囲気
2)コラボレーションコーナー
カーペットにクッション、ホワイトボード、マーカーなど、
カラフルで楽しそう
3)創作コーナー
カラーマーカーや工作用具、机、イス、絵本や図鑑
カラフルで楽しそう
4)マインドフルコーナー
壁向きに置かれた1人か2人分だけの机とイスの後ろに、 パーテーションのようにダンボールを立てて仕切る ちょっとした隠れ場
そして生徒たちは、自分たち自身で考え、作り上げた環境の中で、 必要な学びの形に応じて各コーナーを選んだり変えたりしながら過 ごしていくのです。このクラスでは、自分たちで教室を作った! という事実だけで生徒たちは学びに対して積極的になり、 集中してそれぞれの作業や課題を進めていっているそうです。ダンボールパーテーションの内側では、無言で読書に没頭している生徒がいたり。素敵ですね!私が面白いなーと思ったのは、学びの形の中に「 先生が教える」という場面がないことです!ww
この模様替え、特にお金をかけてやったことではありません。 新しく導入したのは、 多分ダンボールくらい? 日本の小学校でこれをいきなり実践、は難しいかもしれませんが、 何か一部分取り入れるとか、 生徒たちと学び環境について考えてみるなど、 できることもあるのではないかな、と思いました。ポイントは、「模様替え」をすることではなく、自分たちの学びの環境をどのように作ったらいいのかという点について、生徒たち自らが `Student Agency' を持って取り組んだこと。
皆さんの周りでは、’Student Agency'、どんな場面で発揮されていますか?いませんか?
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