Life is short!

シンガポール在住 4児の母の徒然ブログ

ミュージアム制覇ミッション続き(2)

ミュージアムを制覇しよう!という目標を立てると、夏休みがちょっと楽しくなりました。さらに、このささやかなブログに記録しておこうと思ったら、それが意外と楽しくなっちゃいました!どんな写真を撮ろうか考えたり、訪問後に改めてウェブサイトを見てみて、新しい発見があったり。夏休みの自由研究状態?!子供の頃は「やらされていた」けれど、自分で興味持ってやるとこんなに充実して楽しいんだー!と、遅まきながら、改めて、感じた次第です。。。

 

#6 Trick Eye Museum

Trick Eye Museum - Attractions in Singapore - Resorts World Sentosa

入場大人25ドル子供20ドル オンライン割引あり

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前回まで戦争関連の展示見学が続いたので、ちょっと気分を変えてこちらへ。ユニバーサルスタジオや水族館、カジノなど、観光用のアトラクションがひしめくセントーサ 島の一角にあります。

 

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いろいろと写真を撮ってなかなか笑えました。家族投票の結果、本日のベストフォトはケイバ・ヒデキ。いい写真のコツは、撮影用の設定ではなくて、本人の演技力である、というところに落ち着きましたw

 

#7 Asian Civilisations Museum 

Life in Edo / Russel Wong in Kyoto exhibition ~17 Oct. 2021

https://www.nhb.gov.sg/acm/

入館大人20ドル 学生15ドル (家族パッケージで5人60ドルでした)

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シンガポールリバー沿いにある美しい博物館

これまで何度か訪れたことがあるアジア文明博物館。広い「アジア」地域に混在するたくさんの文化や宗教を、テーマ別に複数のギャラリーで紹介しています。今回は、春からやっている展示「Life in Edo / Russel Wong in Kyoto」を目当てにやってきました。江戸の行事や生活風景の浮世絵と、シンガポールのカメラマン、ラッセル・ウォン氏が撮った京都の風景、芸妓さんの日常などの写真が一緒に展示されています。

 

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北斎の「凱風快晴」

世界で最も知られている浮世絵のひとつ、赤富士。江戸時代にフルカラー印刷を実現するために使われた複数の木版も一緒に展示されていました。北斎が下絵を書き、彫り師が木版を何枚も彫り、刷り師が色別に刷り、という気の長い共同作業の様子が蘇ってくるようです。

 

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江戸時代の生活の様子を色鮮やかに見せてくれる浮世絵で、私が特に注目するのは人々がまとっている「着物」の柄や着こなし!艶やかだったり粋だったり、どれだけ見ても飽きることがありません。一緒に展示されている現代の京都の写真は全て白黒で、200年以上前の江戸の色鮮やかさとのコントラストが面白かったです。コントラストと言えば、同行した次女は「会場の壁の色(写真)が素敵だった」とのこと。確かに、日本の伝統色かな?ニュアンスのある色彩が、薄暗い室内に映えていました。作品を光から守るために照明は暗め、さらに展示期間前半と後半で作品の総入れ替えも行われたそうです。アート保存のために、エキシビションの裏では様々な努力がはらわれているんですね。感謝!

 

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今回は常設展示はさらっと見ただけでしたが、前回は改装中で見られなかった「ファッションとテキスタイル」がオープンしていました。アジアで育まれた生地や染め織り、衣類が、貿易が盛んになるにつれて世界の影響を受けて技術やトレンドが変化していく様子がわかります。(いい写真がとれてなくて残念!)それから、横を通りかかる度にいつもクスッとわらってしまうこの猪?の頭部とお皿。この頭は、上部をパカっと開けてスープなどをいれる深皿で、蓋を閉めると鼻から湯気が出てくる趣向!だそうですww  貿易を通じて異文化がお互いを刺激しあった時代の、中国文化と洋食器のミックス?!このような動物(鳥や魚、猪など)の形の深皿は、最初1750年頃フランスで作られ、その後ヨーロッパ市場に輸出するために中国で盛んに作られたそうです。

 

1Fは貿易、2Fは信仰、3Fは素材とデザインを大きなテーマとしており、「アジア」という言葉が示す幅の広さを感じるミュージアムです。

 

#8 The Live Turtle & Tortoise Museum

Museum | The Live Turtle and Tortoise Museum of Singapore | Singapore

入場大人14ドル 子供(3−6歳)10ドル

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北部にあるレクリエーション施設ORTOに隣接

「生きてる」カメとリクガメ博物館、という名前。博物館でカメ、というと剥製のイメージになっちゃうので、わざわざ「Live」としてるのかな。英語でカメ全般のことをTurtle タートルと言いますが、陸に住んでいて泳げない陸ガメのことはTortoise トータスと言い分けます。水中のカメとリクガメは、住むところも食べるものも全然違うんですね。

 

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リクガメ大きい!みんなハラペコでしたw

入場時にエサのロングビーン(ながーいインゲン!)をもらって、リクガメたちにエサやりができます。そんなに大きい敷地ではないんですが、全部で30種類以上のカメさんがいるそうです。

 

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くるっと回っておしまい、ではありましたが、同行した次男とお友達はハラペコのカメたちがエサに集まってくるのを楽しんでました。

 

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水中に住むカメたちは、一匹ずつ水槽に。それぞれの顔は、こんなにユニークでひょうきんでしたー!

場所は街中から車で30分くらい北上したところ(シンガポールの感覚では、ちょっと遠いところという感じ)。魚釣りやエビ釣りなどが楽しめるORTOというレクリエーション施設の隣にあります。カメのエサやりの後は、エビ釣りを楽しんで(2時間も!釣果は2人で8匹〜w)帰宅しました。

 

#9 NUS Lee Kong Chian Natural History Museum

https://lkcnhm.nus.edu.sg/

入館大人21ドル 学生13ドル

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リー・コンチェン自然史博物館

主に東南アジアの自然史を紹介しているミュージアム。シンガポール国立大学(NUS:2021年のアジアの大学ランキング3位!)のキャンパス内にあります。

 

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中央に草食恐竜の化石が3体!

 

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でっかい恐竜の化石からちっさな貝の標本まで、あらゆるサイズ、色、形の標本や化石、剥製などなどが15のテーマ別ゾーンに展示されています。

 

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頭の大きな骨格標本は、マッコウクジラ。2015年にシンガポールの島に死んだ状態で打ち上がったものだそうです。わーお。体長10.6m。

 

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Black Marlin 和名は「シロ」カジキだって!

そしてこちらは、1986年にシンガポールのイーストコーストパークの浅瀬に迷い込んで息絶えてしまったシロカジキ。体長3.3m 体重245kg。なんでブラック・マーリンなのにシロカジキになるのー?!ネット情報によりますと、英語では生きてる時の背中の色の濃い藍色を指してブラック・マーリン、日本では死んだ後その色が白っぽく変色していくのを指してシロカジキ、と呼ぶんだそうです。。。なるほど。

 

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螺旋階段を上がると、ヘリテージギャラリーとして、1800年代以降のシンガポールの動植物に特化した展示があります。昔のラッフルズミュージアム(今の国立図書館)にあったものの展示が多いそうで、今回のミュージアム巡りの最初に見た図書館での展示と似ていました。ので、写真はあまり撮らなかったんですが、私の好きな蓮の花のきれいな植物画があったので思わずパチリ。1819年にイギリス東インド会社(歴史の授業で習った!)で働いていたスタンフォード・ラッフルズがシンガポールに上陸し、自由貿易港を開港して以来、貿易の中心地となるにつれて、様々な外来種が輸入品として、または荷物に紛れて、シンガポールにやってきました。蓮の花もそのひとつで、観賞用に輸入されてから、国中の貯水池を覆い尽くしてしまうほど繁殖していたこともあるそうです。

 

この自然史博物館、いろいろ網羅しているために、総花的というか、最終的に印象に残るものはあまりないかも。。。なにか目当てをもって訪れた方がいいかもですね。貝愛好家(食べる方じゃなくて、貝殻鑑賞ー)の私?としては、宝貝コレクションが素敵でしたー!

 

#10 Singapore Musical Box Museum

Singapore Musical Box Museum

入場 大人12ドル 学生6ドル

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敷地の奥にオルゴール博物館の入り口が

シンガポール・オルゴール博物館は、国内で最も歴史の古いお寺、シアン・ホッケン寺院の敷地内にあります。スイスやドイツ、アメリカなどから集められたオルゴールは、200年以上前に作られたアンティークもあり、貴重で繊細なオルゴールがたくさん展示してあるため、見学は要予約のガイドツアーのみです。

 

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美しい音を作り出す、シリンダーいろいろ

オルゴールの中で音を出す仕掛けはこのシリンダー。初期のオルゴールは真鍮など金属のシリンダーが使われており、高価なものでしたが、木製のシリンダーが作られるようになったり、シリンダーの交換ができるように工夫されていったことで価格が下がり、一般の人々も楽しめるようになったそうです。そもそも、時計に音が鳴る機能がつき、音楽が鳴るようになり、そこから時計の機能をとっぱらったものがオルゴールの原型で、スイスの時計職人が最初に作って1796年にパテントが取られたそうです。時計職人の技術から生み出されたんですね!

 

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これはディスク型

オルゴールはシリンダー型、そしてディスク型、パンチカード型の3種類。このディスクは、レコードやCDの原型だそうで、確かによく似ていて、納得ですね。18世紀当時、音楽といえば音楽家の「生演奏」しかなかった時代に、再生可能な音楽プレーヤーとして初めて登場したのがオルゴール!オルゴールというとレトロで懐かしいイメージですが、当時としては最先端のイノベーションだった、ってことですね〜。

 

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大型のこちらはジュークボックスの原型

ジュークボックス、という言葉自体ずいぶんレトロな感じもしますが、この大きな縦型のオルゴールはまさにジュークボックスの原型。コインをいれると音楽が鳴り出します。後々、音楽を選べるボタンがついたりして(押すと中でディスクが入れ替わります)、音色は優雅だけど、まさに自動音楽演奏装置。当時、上流階級の皆さんが楽しんだ船旅でこれが大人気となり、一番儲かるエンターテイメントだったとか。

 

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シンガポールでも作られました

時計やオルゴールといえば、スイスやヨーロッパでしょ、なんでシンガポール?その秘密は、自由貿易港として繁栄し、ヨーロッパとの間でたくさんの品々が輸出入されていたことにあるそうです。当時ヨーロッパから船で運ばれてきた時計やオルゴールは、精密機器ゆえ、その輸送中にダメージを受けて動かなくってしまったのです。そこで、完成品ではなく、パーツごとバラバラに輸入し、当地で組み立てて商品にする、という方法が考え出されました。シンガポール国内で組み立て作業をする職人が育成され、精密機器産業として発展したそうです。(後に日本の時計メーカー「セイコー」が初めての海外製造拠点としてシンガポールを選んだのも、そういう土壌があってのことだそうです。)アジア文明博物館でも、西洋文化と中国文化の混ざり合いを感じましたが、ここでも。写真の置き時計は、ムーブメントはヨーロッパからきた部品ですが、外側の装飾は完全に中国嗜好。「福」という漢字や、中国の吉祥模様であるコウモリが彫り出されています。

 

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入場チケット。日本の音大生と一緒に作っているそうです!

この博物館で入場料を払うともらえるチケットは楽しいですよー。1枚1枚デザインが違っていて、穴があいている。。。そう、オルゴールのパンチカードなのです!ツアーの最後に、手回しのオルゴールに差し込み、回してみると、素朴な音色が〜。私たちがいただいたのは、シンガポール国家、建国記念日のテーマソング、三匹の子豚、でした。いい記念!オルゴール本体も欲しくなっちゃいますね。

 

ガイドをして下さったのは、日本人で館長をされている南さんでした。過去から受け継がれてきたオルゴールを、未来へ受け継いでいかなければ!という熱い語り口に、オルゴール愛を感じました。ありがとうございました!

 

#11 Malay Heritage Centre

WELCOME TO THE MALAY HERITAGE CENTRE

入館 大人8ドル 学生5ドル

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元々はマレーの王族の住居だったという美しい建物とガーデン

元はと言えば、マレーシアの一部だったシンガポール。国歌はマレー語だし。もともとのマレー文化の中に、移民してきた中国や宗主国だったイギリスの文化などをミックスしたものがシンガポールカルチャー。公用語は英語、中国語、マレー語、タミール語の4つ。シンガポリアンの話す英語は「シングリッシュ」と言われ、英語・中国の福建語・マレー語のミックスで、難解!シングリッシュ対英語の分厚い辞書もあるほどです。というわけで?!こちらはマレー文化・伝統を紹介しているマレー・ヘリテージセンター。

 

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文化紹介のミュージアムでいつも私が気になるのは、こんな庶民の生活が見えてくるような日用品。アジアでは、かごだったりざるだったり、すり鉢だったり、なんとなく昔遊びにいったおばあちゃんちの台所を思い出すようなアイテムも多いですねー。

 

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ラッフルズ卿が上陸した頃のシンガポールは、人口1000人程の小さな漁村があるだけの島だったそう。当時マレー半島と周辺諸島では、写真のような様々な形の小型の船を操っての漁業やインドネシアなどとの貿易が行われていたそうです。

 

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お隣にはサルタンモスク

その後自由貿易港として発展していくと、西洋や中東との貿易だけではなく、聖地巡礼の出発地としても栄えていきました。マレー文化ではイスラム教が主な宗教であり、その聖地であるアラビア半島のメッカへの船旅が大人気となり、東南アジアの熱心なイスラム教徒が巡礼の旅を目指して集まってきたんですね。旅を斡旋する業者(今で言う旅行代理店ですね)が活躍していたとか。いまこのセンターやモスクがある地域は、当時は海岸沿いで、港町として貿易商や旅行者、巡礼者などで賑わっていたそうです。

 

ラッフルズ卿が行った地区分けで、マレー系アラブ系などの住民に割り当てられたこの地域はカンポン・グラムと呼ばれ、今でもその名前で親しまれています。旅行者が行き交う港町らしく、中東や地中海料理などのレストランや、カーペットや織物、雑貨小物などのお店が立ち並び、エスニックな雰囲気がする地域です。

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長かった夏休みもようやく終わり、ミュージアム制覇ミッションも一旦終わりです。

今回リストアップした35カ所中、しっかり見られたのは11カ所。まあまあかな!?

改装中などで閉館していたのが5カ所、以前行ったことがある(でもまた行こうと思っていた)のが6カ所。まだ足を踏み入れたことがないミュージアム、残り13!これからも週末など利用して、全部制覇したい!このミュージアム巡りで良かったのは、やっぱり子ども達と一緒に行けたこと。それぞれの反応、感想が様々で、帰り道のわちゃわちゃおしゃべりが楽しかった!なにより、一緒に博物館巡りを楽しめるほど、大きくなったんだなあー、と1人感動しておりましたとさ。おしまい。