この夏のミッション!シンガポール中のミュージアム制覇!(1)
国土の小さいシンガポール(東京23区分とほぼ同等)では、シンガポリアンも外国人も、長いお休みのお楽しみは海外旅行!アジア諸国はもちろんのこと、南半球やアフリカ、ヨーロッパなどなど、世界のあちこちに行く人がたくさんいますが、それもこの2年はコロナ禍でお預け状態。早く海外に自由に遊びに出たいねー!という会話があちらこちらで聞こえてきます。
我が家も、楽しみにしていた一時帰国ができないため、子ども達と決めたこの夏のミッションは「シンガポール中の美術館、博物館、展示など全て制覇!」有名どころは時々行っていたものの、まだまだ行っていないミュージアムはたくさんあります。常設展示、特別展示、大きいところ小さいところ、様々数えてみたら30以上!これはほぼ毎日行かないと制覇できない!!
以下、行ってみたミュージアム備忘録、時系列です。ご興味ありましたらご参考まで!
#1 Nature X Human Exhibition/Environmental Histories of Singapore
Human x Nature: Environmental Histories of Singapore
@National Library/ ~26 Sep 2021 / 入場無料
まず最初に行ったのは、ちょっと地味ですが国立図書館内のギャラリーでの展示。「シンガポールの歴史の中での自然環境の変化と人々との関わり」、といったところですかね。無料だし、図書館のギャラリーだからそんな大したことないよね、きっとー、なんて失礼なこと言いながら行ってみたら、とんでもない!めちゃ充実で楽しめました!さすが国立図書館、大切に保管されてきた様々な文献、図鑑、動植物の水彩画、剥製などの資料を多数展示。もともとは熱帯気候のジャングルに豊かな生態系が育まれていた場所がイギリスの植民地になり、世界の需要に答えてプランテーションが広がり、ゴムやスパイスの生産地、主要貿易港として栄えていく様子。それまで欧米に知られていなかったエキゾチックな動物や鳥などがヨーロッパで人気となり乱獲されるように。密猟や森林伐採によって地域特有の動植物の姿が消えていく様子。1800年代当時この地域に生息していたマレートラは、森林の減少と人口増加によって人と遭遇することが増え、人が犠牲になったりしたことから文字通り「トラ狩り」が行われ、懸賞金もだされたそうです。1930年に野生のトラが殺処分されたのを最後に、シンガポールからトラの姿は消えました(トラの剥製の展示あり)。環境・生態系破壊や環境汚染などが問題となった時期もあったものの、独立してからは、都市計画によって緑豊かな「ガーデンシティ」を目指し、植樹運動が奨励されるなどして、今のシンガポールには、美しい緑や自然、豊かな生態系も戻ってきています。。。というようなストーリー、でした。
ちょっと心に残ったのは、「日本の占領下で」という展示の一角で見た一文。「占領下では、もちろん図書館も博物館も植物園も日本軍が管理したが、地域の動植物に関する資料や水彩画に関しては「こういった資料は人民にとって貴重なものだから大切に保全するように」という東條英機の命令により保全されることになった」とのこと。果たして東條英機がそういうセンスを持った人物だったかどうかは???ですが、真偽のほどはともかく、19世紀から今に受け継がれている貴重な資料たちが、戦争で失われることがなくて良かった。。。と思いました。
ギャラリー内は写真撮影禁止だったのですが、10階に上がるエレベーターはこんな!私的にはツボでした。。!
そして、ぜひご紹介したいのは、ナショナルライブラリーが発行しているフリーマガジン、biblioasia! これ、めっちゃ充実していて読み応えあり!シンガポールを始めアジア諸国の文化や歴史が紹介されていて面白いんです!今回はこの特別展示会に合わせてNature特集、スミからスミまで読み込んじゃいました。加えて良質な紙に美しい印刷、これがシンガポールでタダなんて、感涙もの〜!食堂でお水もらっても有料なのに〜。オススメです!
#2 Red Dot Design Museum
Red Dot Design Museum Singapore
入館料:7歳以上@10ドル(入館料10ドル払うと10ドルバウチャーがもらえる!)
マリーナベイの端っこにあって、ずっと気になっていたミュージアム。コロナ規制でしばらくお休みしていましたが、今は開館しています。世界最大級のデザイン賞であるRed Dot Design Awardで認められたグッドデザインプロダクトを集めて展示したミュージアムです。
割とこじんまりしていて、展示も2階のワンフロアだけですが、建物そのもののデザイン、内装、照明まで、さすがのこだわり、という感じでした。
各々一番いいと思うデザインを選んでみたら写真の通り、全員バラバラでしたー。
長女:オフィス用快適イス
次女:透明アクリルのおしゃれライト
次男:コーヒーメーカー(最近父母にコーヒーをいれるのが流行っているため?)
私:折り紙構造の緊急避難シェルター
シンプルなデザイン(ストアには日本のメーカーのグッズもたくさんありました)、それから機能とデザインがうまくマッチしているものがグッドデザインなんだなー、という印象でした。
このミュージアム、入館料を一人10ドル払うと、1Fのストアとカフェで使える10ドルバウチャーがもらえます。ん??なんで?実質タダってこと?お金をぐるっと回してるだけ?と思いましたが、なんとなく得した気分でカフェでお茶を楽しみました!実はその仕組みがベストデザインなのでは?!と思った次第ですww
#3 Orient Express Exhibition
The Orient Express Exhibition – Orient Express Exibition
@Gardens by the Bay/~12 Sept. 2021/入場料25ドル
「オリエント急行殺人事件」で有名なヨーロッパの豪華寝台列車オリエント急行の実物車両展示。車両内にも入れて、当時の様子が再現されていたりして雰囲気満点でした。
以前から、なんでヨーロッパを走る列車が「オリエント(東方)」って名前なんだろうと不思議に思っていたのですが、パリから中近東のトルコ・イスタンブールまで行けるようになったことでオリエント!当時の上流階級の皆さんはこれに乗って1週間かけてトルコに行き異文化を楽しんだ、ということなんですね。
寝台列車での長旅で楽しみなのは食堂車ですよねー。皆さんオシャレして、豪華な食事を優雅に楽しんだんだろうなー。今回のこの展示でも、レプリカの食堂車でフレンチのミシュランシェフの豪華コース料理を楽しむ、というのが目玉の一つ(おそらく一番儲けがでる企画!)だったのですが、コロナ禍で中止に!残念〜!
#4 Changi Chapel & Museum
入館料大人8ドル、提携インター校生徒無料
大規模な改修を経て今年5月にリニューアルオープンしたばかりのチャンギ博物館。チャンギ空港の近く、シンガポール刑務所のすぐ横にあります。1942〜1945年の日本占領下に、その刑務所に収容されていた戦争捕虜・民間捕虜とその家族について、写真や絵画、手紙、当時の品々、証言などが展示されています。
シンガポールの暗黒時代を語る博物館ですが、まるで最先端のアートが展示されている美術館のような美しい外観でした。
連合軍兵、主にイギリス人とアメリカ人が収容されていたそうです。展示されているたくさんの写真や証言、品々によって当時の悲惨で過酷な生活の様子が伺えます。
食糧も物資も不足する中で、捕虜たちは少しでも気持ちを強く持って希望を繋ごうと、わずかな自由時間に絵を描いたり音楽や演劇などを楽しみ気を紛らわせていたそうです。アートの力。
そして信仰の力。このチャペルは捕虜たちの手によって建築されたそうです。
日本人としては重く苦しい気持ちにならざるを得ない博物館ではありますが、当時の人々の心を救ったアートやチャペルについての言及があることで、私の心も少し救われた気持ちになりました。
#5 National Museum of Singapore
入館料大人15ドル、提携インター校生徒無料
シンガポール国立博物館
シンガポールで一番古いミュージアム。1849年に図書館として始まり、名称や場所の変更がいろいろあった後、1887年から現在の場所でNational Museum of Singaporeとなったそうです。この建物そのものが美術品のよう!
シンガポールの歴史と文化を紹介する常設展。どうも生活雑貨が気になるワタクシ。。。
日本の占領時「SYONAN-TO (昭南島)」と呼ばれていたシンガポール。日本軍がマレー半島から上陸してきた時には、なんと自転車が使われたという。。。
今回楽しみにしていたのはコレ、ウィリアム・ファーカーコレクション。イギリス植民地となったシンガポール最初の駐在員、ウィリアム・ファーカーはナチュラリストでもあったそうで、地域の動植物を調べて水彩画を描かせコレクションしていたそう。19世紀に描かれた水彩画の鮮やかな色とディテールにうっとり。。。
Story of Forest はチームLABOの常設インスタレーション。螺旋状のスロープを降りながら東南アジア地域の森や動物の様子が3Dアニメーションで映し出されていくのが楽しめます。次々と現れる動植物たちは、ファーカーコレクションからインスピレーションを得てデジタルで描かれたんだって!19世紀から21世紀へのつながり!
この夏の特別展は:
Home Truly 独立してからその歴史50年余という若い国、シンガポールのこれまでの軌跡と文化の紹介。展示のあちこちで質問に答えながら進んでいくインタラクティブな展示で、子ども達も楽しそうだった。
Picture the Pandemic COVIT-19パンデミックに見舞われた人々の様子、対策、生活などの写真展。何十年も後になって、貴重な資料になるんだろうな。SARSが起きたときの様子も。
まだまだたくさんの展示があり、じっくり見るには半日では足りません。また再訪しなくてはー!その価値あり、です。
おっと、まだ5カ所しか行っていないのに、ずいぶん長い記録になってしまったので、一旦終わります。まだまだ続くよー(予定w)!
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