Life is short!

シンガポール在住 4児の母の徒然ブログ

IBDP(長男が)修了しました

2017年4月にシンガポールに移り、インターナショナルスクールに入ってIBカリキュラムで学び始めた長男が、高校最後の2年間にあたるディプロマプログラム(DP)を無事修了しました。DPは、これまでの学びの集大成を最大限で出力していく2年間。気も抜けないし手も抜けない、かなりのハイペースで長ーいマラソンを走るような感覚じゃないかと思いました。特に最後の数ヶ月は、次々にくる課題の提出期限、同時にやらなければならない授業の課題やテスト、DP最終試験の模擬テストと本番に向けての準備、さらに、この9月の大学入学を目指した長男は入学試験の準備や面接まで重なって、そのプレッシャーとストレスは相当なものでした。今回は、その数ヶ月が実際どんなものだったか、親として学んだこと、感じたことなどをご紹介したいと思います。

 

スケジュール 

(課題提出期限などは、地域や学校によっても異なるそうです。あくまで長男の経験として、参考程度にご覧ください)

まずはざっとカレンダーでみると、

2020年8月 最終学年(Grade12)スタート

2020年9月

2020年10月 1期終了、predicted grades1 (見込み点発表)

2020年11月 

2020年12月 2期終了、predicted grades2、EE提出

2021年1月

2021年2月  模擬試験、TOK提出

2021年3月  3期終了、predicted grades3

2021年4月 CAS提出

2021年5月 最終試験、インター校卒業

2021年6月

2021年7月 最終スコア発表

 

IBDPでもそうじゃなくても、日本でも海外でも、大学受験は同じように大変ですよね。日本の一般的な受験と比べてIBが独特だと思うのは、最終試験のタイミングです。シンガポールのインター校は基本的に年度が8月に始まって6月に終了、IBDPの最終試験は今年は4月末から5月にかけて行われました。試験が終わるとすぐに卒業式です(他の学年はまだ授業があり、6月中旬に年度末)。そして、その試験結果がわかるのは7月初旬。なので、高校を卒業する時点で、最終試験の結果はわかっていないのです!大学入学の合否は、最終スコアによって最終決定となることがほとんどなので、晴れて高校卒業、となっても進学先は決まっておらずなんとなく落ち着かない、宙ぶらりんな感じがします。

 

高校卒業とDPの関係

私もあいまいな理解しかしていなかったんですが、高校を卒業することと、IBDPの資格を取得することは「別もの」です。IBスクールに通っていたとしても、高校まで全ての課程を終えたことでもらえるのは高校課程修了証書、まあ普通の卒業証書ですね。その上で、最後の2年間でDPコースの全ての課題を修了し、最終試験で合格基準点以上を取った場合、IB資格、つまり「国際的に認められている大学入学資格」が取得できます。大学入学資格、と言っても、それで自動的に大学に入れるわけではないので、「大学受験資格」と言い換えた方がいいんじゃないかーと思ってしまいます。

 

というわけで、卒業イコールIB資格、ではないんですね。DPコースは要求されるレベルがかなり高いため、DPコースについていくのはちょっと難しいとか、IB資格は必要ない、というケースもでてきます。また、最終試験は英語で受けることになるので、英語ネイティブでない生徒にとっては、言語のハンデもあります。そのため、IBカリキュラムの学校でも最後の2年間は「DPコース」と「ハイスクールディプロマ(高校課程修了)コース」に分かれていたりします(学校によっても違うと思います)。結局のところその違いは、大学進学の際にIBスコアを利用できるかできないか、ということかなあと思います。

 

Predicted grades (見込み点)

卒業時にも最終スコアがわからないため、最終年には年間を通してPredicted grades, 見込み点というのが出されます。これは、在籍している学校の先生がそれまでの成績や取り組みの姿勢を考慮して「この生徒は最終試験でこれくらいの点数をとるだろう」と「見込んで」出すスコアです。長男の学校では各期末の成績発表と同時に、10月、12月、3月と3回見込み点が出され、生徒たちは受験する大学の出願時期に合わせて最新の見込み点を出願書類と共に提出します。大学側は、見込み点で審査の上「条件付き合格」を出して、最終スコアが出た時点で合格確定、となります。そのため、最終スコアはもちろんのこと、見込み点も大事な要素で、生徒たちは年間を通して気が抜けないのです。

 

世界を見ると、国や地域で出願の時期はだいたい決まっているようですが、日本は大学によってかなりバラバラなので、出願準備の時期に注意する必要があります。9月入学の場合早ければ前年秋に出願が始まる大学もあれば、6月まで出願を受け付ける大学もあるようです。長男の場合、最初の見込み点(10月)を使っての出願から始めたので、道のりが長かった!そして、2回目3回目、そして最終試験に向けて、スコアが下がらないように、なんなら上げていかなくては、というプレッシャーも相当あったようです。

 

大学入試

IB資格を受験条件として認めている大学は、さらにそれぞれの受験資格基準を設けていて、IB資格があればOKとする学校もあれば、IBスコア〜点以上、と打ち出している学校もあります。その上で、書類審査、面接、小論文などをして合否が決定されます。

5月頃最終試験、6月頃卒業の場合、その年の9月の入学を目指して国内外の大学を受験するパターンと、翌年4月の国内の大学入学を目指して帰国、予備校などで受験準備をするパターンが主に考えられます。長男は9月入学を希望したので、最終試験が迫ってくるDPコース終盤に、期末のテストや課題のレポート提出に加えて大学受験のための書類準備や面接などが重なり、プレッシャーは更に倍増!となってしまいました。

 

そんなこんなでストレスが重なり、長男は秋ごろからすっかり無口の暗い顔に。ご飯の時以外は部屋にこもりきり。家族で「大丈夫かな〜生きてるかな〜」とヒソヒソと心配していました。真面目にコツコツ勉強するタイプだし成績も悪くなかったのに、全く自信がない!全滅するかも。。。というような本人としては最悪のシナリオが頭から離れなかったようでした。それでもなんとか最後の試験を終え、ホッと一息。今現在は高校は無事修了し卒業、最終スコア待ちの状態で、本人はまだ「不合格だったらどうしよう」という最悪シナリオは捨てられていないようですがw、それでも笑顔やジョークが見られるようになり、親としてもホッとしているところです。来星してから一度も塾や家庭教師のお世話にならず、IBDPを無事修了した経験は、長男を自立性・自律性のある学習者として成長させてくれました。今後も、Lifetime learner、生涯学び続ける学習者として歩みを進めていって欲しいと思います。

 

本人の感想

「しんどい」「キツい」「もうだめだ」「ゲロはきそう」。。。最後の数ヶ月はこんなネガティブワードしか口から出てこなかった長男ですが、終わってみての感想を聞くと、「DP1年目からもっとちゃんと勉強しておけばよかった」

だそうです。私から見たら、1年目もコツコツやっていたと思うんですが、「もっと」やっていたら最後にこんなにやらなくて済んだはず、と思うようです。学びにゴールはない、ということでしょうか。 

 

親としてもやってみたからわかったこと多し

IBは、「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より 良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富 んだ若者の育成」を目的として掲げています。私はこの理念に感銘を受け、IB教育について学んだりしていましたが、実際のカリキュラムは正直言って複雑ですんなりと理解するのは難しい!と感じていました。実際に子供たちがIB校で学ぶ機会を得て、実践としてやっと理解できるようになったことがたくさんあります。DPについては特にそうで、保護者への説明会に参加して仕組みを聞いてもピンとこなかったものが、実際やってみて、なるほどーそういうことかー!ということが山ほどありました。今回その一部をご紹介してみましたが、もしかしてあんまりピンとこない?!もしかしてかえって混乱した?! だとしたらスミマセン! これからDPに進むお子さんがいるご家庭などで、万が一、少しでも、参考になれば嬉しいです笑

 

この他にも、EE、TOK、CASといったIBDP独特の課題などなど、面白いなーと思うことはいろいろありますし、長男に続いて今年から長女のDPコースが始まったり、次女がMYP最終年、次男はPYP卒業しMYPへ、など、私自身もまだまだ経験すること学ぶことがたくさんあります!私なりの新しい発見を、少しずつシェアしていければいいなと思っています。

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