Life is short!

シンガポール在住 4児の母の徒然ブログ

6ヶ月の観察日記

4月に来星して6ヶ月ちょっと、経ちました。早いっ!

この間、出張続きの夫と、新しい環境で英語での学校生活を送り始めた子供達のサポートをしつつ、シンガポールを少しづつ探検してました。やっぱり、自分の知らなかった文化、習慣、言語、味、などなどに触れられるのは、それだけでエキサイティング!家族でこの機会が持てたことに本当に感謝してます。

中でも、国際バカロレア(IB)の小中高一貫インターナショナル校に通い始めた4人の子供達の様子を観察できるのが、日々本当に興味深い。IBプログラムの内容や進行は、私や子供達が受けてきた日本の公教育とは全く違うものだし、それにチャレンジしている子供達の様子や変化を見ているといろいろな発見があり、私自身学ぶことが多くあります。今日は、その6ヶ月の観察日記を。

《英語への慣れ方は、それぞれ全く異なる》

通っているインター校では、英語を母語としない生徒のためのESLサポートが充実しています。英語ゼロからのスタートでも、英語習得のための授業が日々あったり、メインの授業の中でも英語サポートをしてもらうなど、レベルごとの対応をしてくれて、一人一人習得にかかる時間は違うけれども、最終的にはサポートなしで普通に授業が受けられるようになることを目指します。それから、クラスメートから学ぶことも多いですね。学校全体では50カ国以上の国の子供達が在籍していて、日本人もたくさんいます。英語が話せる子も話せない子もいろんなレベルの子たちと毎日生活している中で、耳と体で覚えるコトバもたくさんあるようです。

同じように育てているつもりだけど、全く個性の異なる4人。英語環境への順応の仕方も、年齢の違いもあって4人4様全く異なります。日本で中2を終えてきた長男は、文法、文型の知識をベースに長文読解やライティングをこなす。音声への感度がよい長女は、聞いた言葉の再現能力が高く、頭よりも耳で吸収している感じ。失敗を恐れず、誰に対してもオープンになれる次女は、言葉がわからなくてもジェスチャーや表情でハッピーなコミュニケーションをする達人。末っ子の次男は、余計な固定概念なく英語の音を素直に吸収していて、いわゆる「ネイティブ英語」に近い発音で長めの絵本を読むようになっている。

年齢差の影響も大きいとは思うけど、同じ環境にいてもこんなにアプローチの違う学び方をそれぞれしていくのだから、学年みんなで均一の力をつけろ、と要求するのではなく、「学びの個別化」を進めていくのは、これからの公教育でも絶対必要だと感じます。

《デジタル・スキルの習得スピードは圧倒的》

中学生以上はマイMacbookが必須、小学生も1年生から学校では1台ずつPCを借りていろんな場面で使います。小2の次男は「コミュニケーションが(人間)関係を作る」というテーマ学習の中でeメールアドレスをもらって先生や友達とやりとりしたり、リンクの貼り方、検索の仕方、などのオンラインコミュニケーションについて学んでました。google driveに自分の作業中のプレゼンスライドなどが入っていて、家に帰ってくると私のPCで作業を続け、単語に合うイラストを検索してスライドに貼り付けるなど、すでにかなり自由自在。上の子達は、自分の端末で撮影したビデオを編集して、学習テーマにあったプレゼン作品にする宿題をオンライン提出、など。仕事をするうちにやっとやっと最低限のスキルをなんとか身につけてきた私は、もう既にかないません(汗)。学生の頃私は「英語を身につけることで、接することができる情報量が格段に増える」と思って英語の勉強は頑張った(他教科はあんまりww)けど、今は英語のみならず、デジタル・スキルも同様、ですね。一方で、このスキルの有無で生まれる格差拡大も今後の社会では課題になってくると思うと、なんとかできないものか、と考えてしまいます。

《正解することが大事、ではない》 

「あなたはどう思うか、それはなぜか」という問いが、本当に多い。そこには「正解」というものはなく、自分の思考とその理由付けを明らかにし、短い文でもそれを表現することが求められます。今まで学校でそんな風に問われたことがあまりなかった子供達は、最初は戸惑い、どう答えればいいのかさっぱりわからなかったのですが、これも繰り返しやっていくうちに慣れてきています。やっぱり「考える練習」、大事。「日本人は自分の意見がない」とか言われますけど、それはそのトレーニングをしていないから!学校では「教科書に書いてある正解」「先生の教えること」を覚えているかどうかで評価しておいて、社会人になっていきなり「自分の意見を述べよ」と言われても困ってしまうのは当たり前ですよね。社会にでるとこれが正解、なんてモノはないし、急速に変化していく世界で直面するだろう新しい課題に取り組んでいくためには、正解を知っていることではなく、そもそも正解なんてない中で、ベストと思える解にたどり着く思考力が大事、と実感しています。

《不安もいろいろアリマス》

これまで漢字や計算ドリルに費やされていた時間は、他の時間にとって変わっているわけで、もちろん何かをプラスしたら何かをマイナスしなくてはならないわけで。小学生は、吸収も早いけど、忘れるのも超早い!ので、その基礎学力的なところには正直危機感あります。対策として、次男は土曜日の日本人学校補習校へ入学(国語の授業だけやります)、次女は、日本では全く選択肢として考えていなかった公文の教室に通い始めました(算数だけ)。それから、学習内容が日本のように段階的でない部分もあり、小2で「物質の三態(気体、固体、液体)」を(まあそれなりの内容ではあるものの)やったり、中1の数学で単純に角度を求めよ的な問題がでたり。小中高一貫の連続性の中で全てがうまく網羅されるんだろうけど、おそらく2〜3年しか在籍しないことを考えると、「その後」はどうなっちゃうんだろう、という不安も。

 

そんなこんなで、大きなプラスと多少のマイナスも感じながら、ここでもやはり100%正解の学び方、なんていうものはなく、全てがバランスであり、個別であり、一つ一つ、一人一人、今ここで大切なことはなにか、なるべく丁寧に選びとっていくことを目指す、その連続なんだろうなあ、と思うこの頃です。

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