Life is short!

シンガポール在住 4児の母の徒然ブログ

IBDPのCASでTEDxを企画運営

先日、長女と次男がこの3年間通ったIBカリキュラムのインター校で、TEDxイベントがあったので見に行ってきました。DP1年目、日本の高校2年生にあたる生徒達が、DPの必須課題の一つであるCASプログラムとして企画、運営、とのこと。おお、CASでTEDxをやるなんて、素晴らしいアイデアじゃないですか!

企画チームは5名、土曜日の午前中に学校のホールを会場に実施。約50名ほどの観客が集まっていました。学校のメーリングリストで生徒・保護者コミュニティに告知をし、自分たちで作成したウェブサイトに誘導。詳細情報の提供のほか、イベントチケット販売サイトにとべるようになっていて、チケットは、1ドル以上、任意の金額を寄付する形式でした。また、スポンサーも2社ついていました!(担当の先生の奥さんがやっているピラティススタジオと、学校と最寄駅間のシャトルバスを運営する会社)

 

スタート前の会場

TEDxとは

「広める価値のあるアイデア」を著名なスピーカーがプレゼンテーションするTED。実は私がワールドピースゲームに出会ったのも、TEDでジョン・ハンターがプレゼンするのをテレビで見て、でした。本当にいろいろなアイデアに触れられるTEDは、知的好奇心を大いに刺激され、すごく面白い!TEDxとは、そのスローガンとガイダンスのもと、地域の個人やグループが自発的に企画運営するイベントのことをいいます。

 

CASとは

Creativity Activity Service (創造性、活動、奉仕)の略で、IBDPの2年間で継続しておこなう課外活動のことです。創造性では音楽やアートなど、活動ではスポーツやイベント企画など、社会奉仕ではボランティア活動などが主に考えられますが、アイデア次第でいろいろなことができる、自由裁量度が高いプログラムです。

最終試験に向けて課題や勉強量が増えていく中で、それ以外の活動(CAS)にも時間を使わなくてはならないので、しっかりとプランして自分の時間を配分していく必要があります。また、やったら終わり、ではなく、リフレクション(振り返り)シートをスーパーバイザー(自校の先生)に提出し、それが評価につながっていきます。

因みに、CASは必須課題ですが、最終スコアには関係ありません。最終試験は自校ではなく外部評価でスコアがでますが、CASは自分の学校の先生が行う内部評価。内容を示したCASポートフォリオを作成し、活動の記録、リフレクションを行い、実施のエビデンスを残すことが求められます。

 

CASの進め方は、その人次第

CASでは、週に3時間程度の活動を行うことになっており、この時間の使い方は人それぞれ。今回のTEDxの企画運営チームは、週1、2回あるクラブ活動の時間を軸として企画を進め、学年末のイベント実施につなげたそうです。そうすることで、年間を通して一定の時間を割り振ることができるし、自分1人だけではなくクラブに集まってきたチームのみんなと協働しながら進めていけるのでいいですよね。DP生たちを保護者の立場から見ていると、あまり計画や意図がないままCASを時々やり、最後に時間が足りなくなってあわてて単発のイベント(ゴミ拾いとか)を企画したり、CASを通した自分の成長を記録するはずのリフレクションにあまり書くことがなくて苦しんだり、というケースも残念ながらあるようです。CASでなにをやるかは、自分の興味やアイデア次第で自由に決められるわけで、一定の時間を費やすからには、どうせなら自分が楽しめること、自分の成長に役立つこと、さらには社会に役立つことなど、しっかりと考えてプランできたら、有意義なCASになると思います。(そしてそれは大学受験の際の志望理由書でアピールしたり、就活の面接で熱く語れる、かも。。。?!)

 

テーマは「目に見えないもの」

今回企画チームが選んだこのテーマ、面白かった!目には見えないもの、でもそこに確実に存在し、わたしたちを形作っているもの。実はたくさんありますよね。例えば、自分の体の中で起こっていること、脳内で起こっていること。その人の経験してきたことや、それに伴う喜び、または痛み。それによって育まれた考え方やバイアス。ぱっと見ではわからない、隠れた才能や専門的スキルも。今回、7名のスピーカーがそれぞれの「目には見えないもの」についてお話ししてくれました。聞きながら、実は目に見えるものよりも見えないものの方が、個人に大きく影響を与えているのではないかー、など、自分の中にいろいろな感情が湧いてきました。

受付で配られたリーフレット

 

End FGC Singapore

その中でも衝撃だったのは、シンガポールにおけるFGC(Female Genital Cutting:女性器切開/切除)のお話。「アフリカなど一部の地域で行なわれているFGM(Female Genital Mutilation:女性器切除)は、女性を心身ともに傷つけ危険に晒す根絶すべき慣習」という認識は持っていましたが、ええっシンガポールで?!まさに、見たことも聞いたこともない情報でした。マレー系のイスラムコミュニティでは、今でも女の子が生まれると、まだ赤ちゃん・幼児のうちにFGCを行う慣習があり、シンガポール国内のいくつかのクリニックで実際に施術が行われているそうです。スピーカーは、自身も赤ちゃんの時にFGCをされていたことをティーンになってから知り、衝撃を受けて問題意識を持つようになり、後にシンガポールでのFGC根絶を目指すグループ、End FGC Singaporeの発起人の1人となったそうです。「昔からの慣習、儀式として行われているが、その事実でさえも知られていない。FGCには意味がないばかりか女性を危険に晒すことになる、ということも含めて認知、周知されることで、FGCがなくなることを願う」と話していました。実際「ある」けれども人の目に触れない、オープンな場にはでてこないトピックにスポットライトをあて、正しい情報が周知されることでよりよい、ヘルシーな社会を作りたい。そんな気持ちが伝わってきたプレゼンテーションでした。スピーカーも、このスピーカーを選出した高校2年生たちも、ガッツある!知ることって、本当に大事です。知らなければ、認識しなければ、そこに変化をもたらすことはできないんですから。

配布していた小冊子 「FGCにまつわる10の迷信」

まとめ

このTEDxを実施するにあたり、企画チームがいくつもの課題を乗り越えてきただろうことは想像に難くありません。TED本体との交渉、学校との交渉、テーマの選定、スピーカーのオーディション、ウェブサイトの作成、日程調整、印刷物やバナーの製作、チケット販売、告知、会場設営、などなどなど。。。大人でも成功裡に実施するのは簡単ではないプロジェクトだと思います。それをやり遂げたことで感じる自分自身の成長はとても大きかったはずだし、まさにCASの目的にかなった素晴らしい活動だったと思います。成功おめでとう!私もささやかながらチケット購入でサポートできて嬉しい。そして、「CASでTEDxを企画運営する」というのは、まさに「広める価値のあるアイデア」じゃないか!と思うのでした!

企画チームのメンバー。お疲れ様でした!

おまけ

お母さんを亡くした後の自分の心身の変化や苦しさを語った女性。子供の頃から腎不全や心臓疾患を抱え、生命の危機を何度も乗り越えてきた男性。この2人のスピーカーが共通して語ったことは、「苦難を乗り越えるのにジャーナル(日記)がとても有効だった」ということ。女性はそこから詩の創作をするようになり、男性は 'Strength in Adversity'(逆境における強さ)というタイトルの本を出版したそうです。

はっきりしないモヤモヤしたものが心の中にある時、自分の中では処理できないような強い感情を抱えている時、ジャーナル、書き出す、アウトプットする、これらが有効なこと、私も実感しています。なんでもいいからペンを持ってノートに書き出す(ここはアナログ派)、すると、気持ちが吐き出せてすっきりしたり、わからなかったことが整理されてはっきりしたり。それができると、元気がでるし、夜よく眠れるw。ネガティブばかりではなく、ポジティブもありで、なにか閃いた時、急にアウトプット欲求に駆られたりしますが、このブログも、ホントーに時々しか更新されないながら(汗)、アウトプット先としてとても有難い存在です。読んでいただき、ありがとうございます。

 

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