Life is short!

シンガポール在住 4児の母の徒然ブログ

2人目のIBDP修了(直前)

長男がIBDPを終えたのが2021年5月。あっという間に月日は経ち、この5月には長女がIBDP修了予定となりました!早っ!4人の子育てをしていると、4人それぞれの個性が違いすぎて面白かったり大変だったりいろいろなんですがw、DPへの向き合い方も、長男と長女では全く違うものでした。

昨年8月からDP2年目がスタートし、今は2週間の春休み中。休みが終わると学校に行く日はもう数えるほどしかなく、スタディリーブ(試験勉強用の休み)となります。そしていよいよ4月末から5月中旬にかけて、最終試験が行われます。

DP2年目はけっこう追い詰められた雰囲気が続いていた長男とは対照的に、長女はそれまでとあまり変わらない様子で、所々友人と遊んだりゲームしたり、気分転換を上手に入れながら自分のペースを作っていたように思います。もちろん、ずっと全てが順調だったわけではなく、壁に当たってもがいたり、周りのサポートを受ける必要がでてきたりなど試練はありましたが、投げ出すことなく前進し続けることができました。現在、最終試験まで約1ヶ月、学校でやるべきシラバスもほぼ終了し、あとは自分で準備して試験に臨むばかり。実は少しガス欠というか、集中できずにスランプ状態です。春休みで従兄弟が遊びにきたりしていたせいで気が散っているのもあり。ここで少し息抜きをして、気分を切り替えられるといいのですが!

 

その長女に、DPについて聞いてみました。

 

DPをやり遂げるために、大切なことは

「時間の管理。」これは、長男も言ってました。DPは大変、DPは難しい、と巷で言われますが、勉強する内容は、それまでの延長であり、いきなりレベルが上がって難解なことをやるわけではありません。ただ、6科目に加えてTOK(知の理論)、EE(課題論文)、CAS(創造・活動・奉仕)にも長期間にわたってコミットしなければならず、都度都度の締切に合わせて課題をこなすために、自分の時間をどう使うかというマネージメント力は必須です。逆に言えば、時間の管理をうまくできれば、2年間を通じて、極端に苦しむことなく進んでいけるということかもしれません。もう一つ長女があげたのは「コツコツ続ける粘り強さ。」時間管理とも通じると思いますが、2年の間、少しずつ確実に積み上げていくことが必要で、そのためのアカデミック・スタミナが求められる、とのことでした。

 

DPで一番難しかったことは

2年間のうち一番苦しんだのは、「IAのテーマ決め」という返事でした。IAとは、Internal Assessment(校内内部評価)のことで、自分の学校の先生が評価し成績をだす試験課題のことです(DPの最終試験の評価は外部のIB試験官が行います)。IAの成績は最終評価の20%を占め、ここでいい成績を取っておくことも大事です。各教科で、プレゼンテーション、実験、プロジェクトの実施とレポートなど、様々な形が取られますが、実施する時期や課題は、各学校やシラバスの進行状況などによってもかなり異なるようです。課題の中で、何をテーマにするか、ということが長女には悩みどころだったようで、自由度が高い分、ずいぶん迷い、先生との相談を重ねてやっと決めた、ということでした。その分、テーマが決まった後は集中して取り組めたようです。具体的なテーマをご紹介すると、

数学:「トマトソースジャー(瓶)の容積と価格の関係」

実際にスーパーで瓶入りのトマトソースをいくつかのブランドで買い、瓶を計測。曲線だったり凸凹だったりする瓶の計測に必要な計算式を全て表し、導き出したそれぞれの容積と価格の関係をグラフにして分析、結論をだす、というレポート。13ページに及ぶ成果物は、見せてもらいましたが、何を言っているのか何をどう計算しているのか、私にはさっぱりわかりませんでした笑。

歴史:「日本において大正デモクラシーの不完全さが、どれほどその後の軍部の力の拡大に影響したか」

たくさんの資料を読み込んでからの、3部構成のエッセイ。まずはOPCVL*(資料の分析)、次にエッセイ本文でテーマについての考察、最後にリフレクション、というもの。長女はEE(課題論文)でも日本の歴史からテーマを選んでいますが、このIAのテーマは何度も変更したりしてなかなか決まらず、苦心したようです。

*Origin,Purpose,Content,Value,Limitation

 

DPをやって良かったと思うことは

「面白かったのは、教科横断の学びが実感できたこと」、だそうです。これはDPに限らず、IBカリキュラム全般に言えると思いますが、一つの教科の中だけで終わらない学びが重要視されています。長女のDP選択科目は、日本語A(セルフトート*SL)、英語B(HL)、歴史(HL)、地理(HL)、数学(SL)、生物(SL)ですが、数学で学んだことが生物で実感できたり、歴史で学んだことが地理の理解に役に立ったり、ということが多くあったそうです。教科同士のつながり、それがさらには学びと実生活とのつながりとなって、生涯学習者としての力になっていくんだと感じました。DPを修了することの利点はたくさんあると思いますが、大学進学など直接的に目に見えるメリットではなく、教科横断の学びが面白かった、と言うところが、長女が中高6年間IBカリキュラムで学んできたことの成果のひとつ、なのかもしれません。

因みに、DPの前のMYP(6年生から10年生)でも、IDU (Inter-Disciplinary-Unit 教科横断ユニット)が頻繁に行われ、例えば数学と社会の先生がコラボして課題を設定し、一緒に評価する、ということが行われています。

*セルフトートとは:長女の学校にはDPの日本語の先生がいないため、Self-taughtという形が取られています。さまざまな国出身の生徒達が母国語を勉強するMother-tongue(マザータン)のクラスの先生がコーディネーターとなり、外部のチューターと共に学習を進めるスタイルです。この場合、HL(ハイヤーレベル)はとれないのでSL(スタンダードレベル)となります。

 

大学選びについて

結論から言うと、長女は、引き続き英語で授業が受けられる日本の大学数校を受験することに決め、既に、第一志望としていた大学に条件付き合格しています(IBDPの最終スコアがでてから本合格となります)。最初は、イギリス、ドイツ、オランダなど海外の大学も視野にいれていましたが、コロナの影響の見通しがまだ不透明だったことや、主にアメリカですが銃の乱射事件が立て続けに起きていた時期だったことなど、どちらかというと海外での生活への不安から、優先順位は下がっていきました。また、留学生の学費は年間で500〜600万円(プラス寮費などの生活費)となる大学も多く、はっきり言って目玉が飛び出るほど高額!いろんな意味で親子共々相当の覚悟が必要になります。。。もちろん、本人が勉強したいことが勉強できる大学を選ぶ、というのが第一で、長女の場合はそれが日本の大学だった、ということになりました。

海外の大学で学びたかったら、一旦日本の大学に進み、在学中に提携校に留学すると言う手もあります。実際、長男は日本の大学に進学しましたが、3年生となる今年は、1年間留学するための校内選考を通過し、今手続きを進めているようです。また、5年間で修士まで取れるプログラムもある大学もあって、自分が勉強・研究したいコースがあるならば、日本の大学はかなりお得感がある気がします。(出資者である親としては切実な問題です!)

条件付き合格についてですが、IBDPの最終スコアは、高校卒業後、7月にならないとでないので、大学に出願する時には、学校がだすPredicted Grade (見込み点)を提出します。大学は、この見込み点をもって仮合格とし、本合格の条件として最終スコア〇〇点以上、という基準を示します。因みに、長女が仮合格した大学は、出願者の見込み点平均は45点満点中37−38点(ウェブサイトより)で、本合格の条件は最終スコア30点以上、とのことでした。それほどスコアを落とすには、最終試験で白紙で提出するとか、よっぽど大幅にズッコケたことをやらなければないと思うので、条件付きとはいえ、普通にやれば本合格できる、と考えていいと思います。

 

そろそろ最終試験へのカウントダウンが始まります。この2年間で積み上げてきた、自分の力を出し切れますように!無事に試験が終われば、約1週間後には卒業式!今年は3年ぶりに大きなホールを借りての式ができるそうです。式の翌日はプロム!これも3年ぶりに復活。そしてその後は、仲良し5人組でプランしている卒業旅行!と、楽しいイベントが目白押しなんです。今だからできる、今しかできない、いろんな経験を積んで、さらに成長していってくれることを願うばかりです。

 

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